疑問詞とは
「だれ」や「なに」「どこ」など、何かを尋ねるときに使う語を疑問詞といいます。何を尋ねるのか(疑問の対象)によって異なる疑問詞が使われます。
今回はめーらむにの疑問詞をご紹介します。
| 日本語 | めーらむに | 疑問の対象 |
| だれ | たる、たー | 人 |
| なに | のー | 物 |
| どこ | ずぃま | 場所 |
| どれ | ずぃり | 選択肢 |
| いつ | いつぃ | 時 |
| なぜ | のーでぃ | 理由 |
| どう | のーばひー・のーばい | 方法 |
7種類の疑問詞
7種類の疑問詞の使い方を確認しましょう。
たる(だれ)
日本語の「だれ」にあたる疑問詞は「たる」「たー」です。

わーや たる?
(君は誰?)

ばーや 花子
(私は花子だよ)
「あなたはだれですか」という表現には、「わーや たる?」の他に次のような言い方もあります。相手が年上であれば敬語表現を使いましょう。
- わーや たるやろーりゃー?
- わーや たるどぅ やろーる?
- わーや たるどぅ やろーる ねーら?

わーや たるどぅ やろーるねーら?
(どなたでいらっしゃいますか?)

ばーや たかしゆー
(私はたかしです)
敬語表現については、敬語と丁寧な表現①(おーるん/ゆー/なーら/ねーら)もご覧ください。
「あなたはだれ?」と尋ねる場合は「たる」を使いますが、「誰が~したか」「誰の~か」など、後ろに助詞が続く場合は「たー」になることがあります。

たーどぅ なきうる?
(誰が泣いているの?)

太郎どぅ なきうる
(太郎が泣いている)
四箇字の言葉であるすぃかむにの辞典である『石垣方言辞典 本文編』では次のような言い方が紹介されています。
- たるどぅ かきゃ(誰を描くか)
- たーんどぅ かきゃ(誰が書くか)
- たーぬどぅ すぃたー(誰がしたか)
- たー ふぁーりゃ(誰の子か)
のー(なに)
日本語の「なに」にあたる疑問詞は「のー」です。

うれー のー?
(それはなに?)


うれー さんちんびら
(それはしゃもじだよ)
すぃかむにでは「しゃもじ」を「さんしんびら」と言います。
ずぃま(どこ)
日本語の「どこ」にあたる疑問詞は「ずぃま」です。

ずぃまがらどぅ きー?/ずぃまがらどぅ くぃたー?
(どこから来たの?)

うくぃなー がらどぅ くぃたゆー
(沖縄本島から来ました)
「ずぃまがらどぅ きー?」「ずぃまがらどぅ くぃたー?」は同年代や年下への問いかけです。年上の人に「どこからいらっしゃったんですか?」と尋ねる場合は、次のような敬語表現を使いましょう。
- ずぃまがらどぅ おーった?
- ずぃまがらどぅ おーったねーら?
「どこの家」と言う場合は「たっちゃ」と言います。

わー たっちゃぬ ふぁー やりゃー?
(あんたはどこの家の子かね?)

ばーや ○○ぬ ほんまゆー
(私は○○の家の長女です)
長女は「ほんま」、次女は「なかんま」、三女は「あんま」と言います。
女性は「みーどぅん」、女の子は「みーどぅなー」と言います。「ばー ○○ぬ なかんまみーどぅなーゆー(私は○○の家の次女です)」と言うこともあります。
長男は「ふっちゃー」、次男は「なかっちゃー」と言います。三男は「かきまかるぃ(「欠けた茶碗」と言う意味)」という言い方があったそうです。昔は三男には粗末な茶碗しかあてがわれなかったことから、比喩として使われていたようです。
ちなみに男性は「びぎどぅん」、男の子は「びふなー」と言います。
ずぃり(どれ・どっち)
日本語の「どれ・どっち」にあたる疑問詞は「ずぃり」です。

ずぃりどぅ たかしやりゃー?/ずぃりどぅ たかし?
(どれがたかし?)


くりどぅ たかしだらー
(これがたかしだよ)

ずぃりどぅ まいへーる?/ずぃりどぅ まいへーりゃー?
(どっちが大きいかな?)


うりんどぅ まいへーる/くりんどぅ まいへーる
(そっちが大きいよ)

ずぃりどぅ まやーかやー?/ずぃりどぅ まやー?
(どれが猫かな?)


うりどぅ まやだらー
(それが猫だよ)
いつぃ(いつ)
日本語の「いつ」にあたる疑問詞は「いつぃ」です。

いつぃどぅ むどぅり くぃたー?/いつぃどぅ むどぅり きー?
(いつ帰って来たの?)

くぃぬどぅ かいりきー/くぃぬどぅ かいりくぃたー
(昨日帰って来たよ)
のーでぃ(なぜ)
日本語の「なぜ」にあたる疑問詞は「のーでぃ」です。係助詞「どぅ」を伴って「のーでぃどぅ」と言う場合もあります。

のーでぃ なきりゃー?/のーでぃどぅ なきうりゃー?
(なんで泣いているの?)

んまんがりどぅ くるび/んまんが くるびだー
(そこで転んだの)
のーばひー・のーばい(どう)
日本語の「どう」にあたる疑問詞は「のーばひー」「のーばい」です。

のーばどぅ つぃくりゃー?/
のーばひーどぅ つぃくりゃー?/
のーばひーてどぅ つぃくりゃー?
(どうやって作るの?)

あんじ ふーかー みしゃーん だらー
(こうすればいいよ)
「どうしたの?」と尋ねる場合は「のーばひー」ではなく、「のー(何)」を使います。

のーどぅ ひー?/
のーどぅ すぃたー?/
のいりゃー?/
(どうしたの?)

ばだんどぅやむ/ばだんどぅ やみる/ばだんどぅ やみうる
(お腹が痛いよ)
「どうしたの?」は上に挙げたようにいろいろな言い方があります。
「のーどぅ ひー?」は「どうしたの?」という意味ですが、「のーどぅ ひーりゃー?」だと「何をしている?」になるので注意しましょう。
使ってみよう
学んだ疑問詞を使って、文を作ってみましょう。
(1)自己紹介してみよう

わーや たる?
(あんたはだれ?)

ばーや ___
(私は___だよ)
次は少し丁寧な言い方です。

わーや たるどぅ やろーる?
(あなたは誰ですか?)

ばーや ___ゆー
(私は___です)
(2)ものや動物の名前を聞いてみよう

うれー のー?
(それは何?)

うれー ___
(それは___だよ)

丁寧に返事をしたい場合は「うれー ___ゆー」と語尾に「ゆー」を付けます。
(3)集落を聞いてみよう

ずぃまがらどぅ きー?
(どこから来たの?)

めーらがらどぅ きー/っさぶがらどぅ くぃたー
(宮良から来たよ)
(4)問題を出してみよう
___には動物の名前を入れて、問題を出してみましょう。

ずぃりどぅ ___かやー?/ずぃりどぅ ___?
(どれが猫かな?)

うりどぅ ___/うりどぅ ___だらー
(それが___だよ)

(5)いつ行くか聞いてみよう

いつぃどぅ とーきょーげ おーる?
(いつ東京へ行くんですか?)

あっつぁどぅ はる
(明日行くよ)
(6)理由を聞いてみよう

のーでぃどぅ すぃまむにば ならいる/ならいうる?
(なぜ すぃまむにを習っているの?)

うむっさーりきー ならいる/
うむっさーりきーどぅ ならいうる
(おもしろいから習っているよ)
あなたがすぃまむにを習う理由はなんですか。
例
- はなひぷぃさん(話したい)
→はなひぷぃさーりきーどぅ ならいうる
(話したいから習っているよ) - なつぃかはーん(懐かしい)
→なつぃかはーりきーどぅ ならいうる
(なつかしいから習っているよ) - かいへーん(きれい)
→かいへーりきーどぅ ならいうる
(きれいだから習っているよ) - ばがりぷぃさん(わかりたい)
→ばがりぷぃさーりきーどぅ ならいうる
(わかりたいから習っているよ)
「習う、学ぶ」は「ならうん」(「教える」という意味の「ならーすぃん」と似ているので注意)と言います。「習っている」は「ならいる」または「ならいうる」と言います。疑問を表す終助詞「りゃ」を使って、次のような表現もできます。
- のーでぃどぅ すぃまむにば ならいうりゃー?
- のーでぃどぅ すぃまむにば ならいりゃー?
(7)どうしたのか聞いてみよう

のーどぅ ひー?
(どうしたの?)

つぃぶるぃんどぅ やむ
(頭が痛い)
からだのパーツの言い方については体や顔のパーツもご覧ください。
今日のレッスンはここまでです。
またらーめ。
参考文献:
横山晶子『0から学べる島むに読本 琉球沖永良部島のことば』
宮城信勇『石垣方言辞典 本文編』沖縄タイムス社
松原秀吉『宮良村(むら)方言集』

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